「んふぅ……。はぁん……。んぁ……」
瞬士に見上げられるだけでも、気恥ずかしい。たまらず視線をそらすと、彼の優しい声が聞こえてきた。
「感じてる佳乃子の顔、本当に可愛い。お前の好きに動いていいから」
「はぅん……。あん……」
お尻を持ち上げた瞬士は、まるで誘導するように屹立を上下に動かしてくる。私もそのタイミングに合わせながら、腰を動かした。
「はぁん……。んふぅ……。ああん……」
ぐちゅぐちゅと、いやらしい音が立つのは、私の蜜が溢れ出てくるから。瞬士とセックスをしていると、枯れることを知らないみたい。
「上手じゃないか。じゃあ、ご褒美に、もっと気持ちよくさせてあげるよ」
瞬士は、ブラウスのボタンを外すと、それを脱がせた。パサッと音を立てて、服が床に落ちていく。そして、ブラジャーも取った瞬士は、それも無造作に手から離した。
「やぁん……。裸にさせるの?」
彼のほうは、ズボンをずらしているだけだというのに。
「そのほうが、綺麗な佳乃子の体が見られるから。本当に、綺麗だな。この白い肌に、俺の印をいっぱいつけたい」
「んはぁ……。ああん……。っくう……」
乳房の先端を力強く吸われて、体の疼きが高まっていく。そして、乳房を揉みしだきながら、体のあちらこちらにキスを落とされた。鈍い痛みを感じるほどに、吸い付くようなキスだ。
「佳乃子、腰の動きが遅くなってるよ。手伝ってあげようか?」
「え?」
恍惚とした表情で彼を見ると、お尻を掴まれる。彼の指が食い込むほどに、きつく掴まれた。
「それだと、突きが甘いだろ。もっと、気持ちよくならないと」
「ああん……! んぁ……。ふぅん……」
腰の動きを速くしたのは瞬士のほうで、椅子が動くほどに思いきり肉棒を突いてくる。彼の上で髪を振り乱しながら、同じように腰を振った。
「二回目なのに、締まりがいいな。佳乃子の膣内(なか)が、最高に気持ちいい」
「はぁん……。はあ……。はあ……」
先端が奥深くを突いてきて、体の奥から感じていく。いつの間にか、瞬士の太ももは、私の蜜で濡れていた。ギシギシと椅子の音が響くけれど、それに負けないほどに屹立の擦れる音も聞こえてくる。
「佳乃子がいっぱい濡れてるから、いやらしい音も響くよな」
「んふぅ……。恥ずかしいことばっかり、言わないで」
「本当のことだよ。ほら、もっと突かせて」
「ああん……。んふぁ……。ふぅん……」
子宮の壁を突かれて、意識が遠のきそうになる。瞬士は、私の感じるところをよく知っていて、右側ばかりを攻めてきた。
「んはぁ……。ふぅん……。っくう……。ああ、もうだめ……」
「イキそう? それなら、二人で一緒にイッちゃおう」
呼吸を乱した瞬士は、腰の動きを最高に速くする。それに合わせるかのように、私も彼の上で腰を振り続けた。
「あはぁん……。んふぅ……。んぁ……」
「っく……。イク……」
彼のその言葉のあと腰の動きが止まり、そしてゆっくりと屹立が抜かれた──。
「今夜は、一時間半分の残業代は付けられないな」
「あたり前だよ。そろそろ、本当に帰ろう」
服を着て、乱れた髪を整え直すと、パソコンをシャットダウンした。瞬士も帰り支度を終えて、鞄を手に取っている。
「それにしても、この中に使用済コンドームが入ってるってのが、なんか抵抗あるよな」
「そ、そんなこと言わないと分からないんだから、いちいち口にしなくてもいいじゃない」
さすがに社内に捨てるわけにもいかず、ティッシュに包んで瞬士の鞄に入れている。しかめっ面をする瞬士に、私はとにかく気恥ずかしい思いでいっぱいだった。
「瞬士、電気消すよ? 早く出て」
「はいはい。じゃあ、鍵は俺が閉めるから」
彼がオフィスの鍵を閉めると、私たちはエレベーターに向かった。
「なあ、佳乃子知ってる? この廊下には防犯カメラないんだって」
「そうなの?」
「ああ。プライバシーがどうのこうのって。だけど、エレベーターにはあるんだよ」
「なるほどね。エレベーターは、カメラあるよね。それは知ってる」
クスクスっと笑いながら、普通の会話をしているのが微笑ましく思えてくる。ついさっきまで、あんな濃厚なセックスをしたあとだとは思えないくらい。
「だから、キスができるのはここまでってこと。エレベーターが来るまで、キスしよう」
「しゅ、瞬士……。んん……」
エレベーターの呼び出しボタンを押した瞬士は、舌を絡めて濃厚なキスをしてくる。あっという間に唇が濡れて、端から唾液がこぼれ落ちた。
「んふ……。んん……」
お互い鞄を床に落とすと、抱きしめ合いながら、口づけを交わす。あんなに体で求め合っても、全然足りないほどに瞬士への愛が溢れていく。もっともっと感じていたい、そう願ってしまった。
「佳乃子……。愛してる……」
「んふぁ……。瞬士、私も……」
彼の右手は、私の胸に伸びてきて、服の上から撫でるように揉んでくる。時折親指で先端を押えられ、小さな快感が体を走った。
「ふぅん……。んはぁ……」
もうそろそろ、エレベーターが開く頃じゃないのか。そうなったら、このキスも胸の愛撫も終わってしまう。もうちょっとだけ……。そう願っていたのに、意に反してエレベーターの到着音が聞こえ、扉が開いた。
だけど、瞬士はまるで私から離れる様子がない。
「瞬士?」
「もうちょっとだけ……。もうちょっと、佳乃子に触れていたい」
私になにも喋らせないかのように唇を塞ぐと、舌を絡ませてくる。それと並行して、彼の胸を揉む力が強く速くなっていった。
「んぁ……。んふぅ……」
瞬士も同じ思いだったことが、とても嬉しい。お互い離れ難くて、強く抱きしめ合いながら、キスを交わしていた。
時々太ももに、彼の硬くなったモノが当たるけれど、この続きはまた別の場所で……。私の新たな疼きも鎮めてほしいから。
明日は、祐馬に勘づかれてしまうだろうか。うなじのキスマークは、絶対に隠しておこう。身も心も瞬士に奪われて、他の人が入り込む隙間なんてない。それは、きっと瞬士だって一緒だから。舞衣にも他の女子社員にも、彼を渡さない。
「佳乃子、今夜うちに泊まらないか?」
糸を引きながら、瞬士は私の口腔内から舌を抜いた。
「でも、そうしたら……。明日は、寝不足で出社だよ?」
「心が満たされていれば、なんとか乗り切れるって。なあ、いいだろ?」
「もう、仕方ないなぁ」
ふふっと笑っていると、瞬士は再度エレベーターのボタンを押した。すると、すぐに扉は開いた。
「そうと決まれば、早く帰らないとな。行こう、佳乃子」
「うん!」
どうやら、続きの場所が決まったみたい。私たちの甘くて濃厚な夜は、まだまだ終わりを見せることはなさそうだ。
<END>
第8回の連載、ご愛読ありがとうございました!
明日からまた新しい官能小説がスタートするので、ぜひ見てくださいね♡
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