昨夜の瞬士とのセックスは、思っていた以上に激しかったのか。翌朝、会社に着いても腰が痛い。資料室で、ファイルを探しながら腰に手を当てていると、背後から祐馬の声がした。
「佳乃子ってさ、付き合ってる奴いるの?」
「え? どうしたの、急に」
祐馬は、瞬士のような甘いルックスではなく、クールで涼しげな顔立ちをしている。鋭い眼差しで見据えられ、ギクッとした。
「答えろよ。どっちなんだ?」
「い、いないよ。なんで、そんなこと聞くの?」
変な鼓動がしてきて、祐馬から堪らず視線をそらした。
「じゃあ、まさかセフレ? 鎖骨にキスマーク。第一ボタンも止めておいたほうがいいんじゃないか?」
「え……」
慌ててシャツの一番上のボタンを止める。不自然に肌が見えるデザインではないのに、キスマークが見えただなんて、瞬士はわざと目立つ場所に痕を残したのだろうか。
そうだとしても、この時間まで気づかなかった自分が悪いのだけれど……。恥ずかしさで、祐馬をまともに見られなくなっていると、ふいに人影を感じ顔を上げた途端、祐馬が私を逃がさないかのように壁に手を付いた。
「ゆ、祐馬……? どうしたの?」
二人きりの資料室で、こんなことをされると怖くなってくる。いつになく真剣な眼差しの彼に、動揺してしまった。
「佳乃子が、いい加減な女性には見えないから。好きな男くらいはいるんだろう? 俺じゃあ、そのキスマークの男に勝てないか?」
「な、なに言ってるのよ……」
瞬士との関係を、悟られるわけにはいかない。どうにか誤魔化さなくてはと考えていると、ドアが開いて瞬士が入ってきた。
すぐに、私たちに気づくと、彼は呆れたような顔をした。
「おいおい、なにやってるんだよ? ここは、会社だぞ?」
さすがの祐馬も恥ずかしかったのか、瞬士の指摘にバツ悪そうな顔をしている。そして私から離れると、「もう出ていくよ」と資料室をあとにした。
「なかなか戻ってこないと思ったら、ロクなことになってなかったな」
瞬士は鍵を閉めると、不機嫌そうな顔で私の側に来た。
「え? じゃあ、わざとここへ来たの?」
「そうだよ。言ったろ? 祐馬は、お前を狙ってるって」
そんなことはないと、反論するだけの説得力がない。さっきの祐馬の言葉で、瞬士の言い分に間違いはないと分かったから。
「でも、私は瞬士だけが好きだし……」
「あたり前。誰が、祐馬に渡すかよ」
私の腰に手を回した瞬士は、引き寄せると唇を塞いだ。まるで遠慮のない、濃厚なキスで、私の口腔内に、彼の唾液が移されていく。
「んはぁ……」
こんな場所で、なんて大胆なことをするのだろう。
「だから、まだ佳乃子とのことは周りに話したくないんだ」
そう言いながら瞬士は、服の上から胸を大きくなぞるように揉んできた。
「はぁん……。んぅ……」
鷲掴みにされ、ゆっくりと揉まれると、体がぴくんと小さく跳ねた。
「異動になると、佳乃子を見張れないからな。まだまだ、会社でもお前の側にいたい……」
瞬士は、キスを続けながら、今度は手をショーツへ移動させる。そして、下着の中に手を入れると、蜜口へ指を挿入してきた。
「ふぅん……。っあ……。くぅっ……」
彼の三本の長い指は、ためらうことなく膣内を掻き回す。そのたびに、ぐちゅぐちゅと秘部が音を立てて、蜜が溢れてきた。
「だめぇ……。瞬士……、これ以上は……。はぁん……」
抵抗する言葉とは反対に、私の体は快感を覚えている。瞬士に寄りかかり、乱れた呼吸を彼の耳にかける。
すると、瞬士の指は、さらに奥に押し込まれていった。
「大丈夫。これ以上はしない」
膣の奥を突くように、瞬士の指は規則正しく動いていく。粘着音と私の呼吸が、資料室に響いていた。
「んはぁ……。んふぅ……」
蕾が痙攣するほどに、瞬士の指使いが私の膣内を刺激する。蜜で溢れた秘部から、瞬士は指を抜いた。
「佳乃子に触れてたら、本気になっちゃいそう。もう、やめるよ」
ニヤッとした瞬士を、私は思わず軽く睨みつける。すると、耳元で囁かれた。
「どうした? もっと、してほしかった?」
「も、もう! そうじゃないよ」
と、照れ隠しもあって否定したけれど、本当は瞬士の言っていることは、あながち間違っていない。この火照った体を、どう責任取ってくれるのか……なんて、心の中で文句を言ってみた。
「あれ? 佳乃子先輩、顔が赤いですけど、大丈夫ですか?」
オフィスに戻ると、新人の舞衣に声をかけられた。彼女は、この春に入社したての22歳で、目がクリッとした小動物のような顔をしている。
男性社員に媚びる癖があり、私は苦手なタイプだった。
「本当? 大丈夫よ。気にかけてくれて、ありがとう」
舞衣にも気づかれるほどに、体は火照っていたみたい。正直、ショーツが湿っていて、心地悪い。
「仕事に支障がないようにしてくださいよ。今週は、制作部の飲み会があるんですから、仕事を溜めちゃいけないんですよ!」
「あ、ああ……。そうだったわね。気をつけるよ」
私の体を気遣ってではなく、週末の飲み会があるから、それを心配していたのか。たしかに、私が休むと仕事が滞る。
舞衣らしい言い方だと、ある意味感心してしまった。
「お願いしますよ。今週は、絶対に松山さんのマンションへ行くって、決めてるんですから」
「えっ? 瞬士の⁉」
「そうですよ。まあ、一人じゃ拒否られるでしょうから、同期を連れていきますけど。私、ガチで松山さんを狙ってるので」
「本気……?」
「ええ。あんなにイケメンで、将来有望なエリートには、なかなか出会えませんから」
ニッとした舞衣を見て、嫌な予感がする。媚び売りならピカイチの彼女が、瞬士にどう迫るのだろうか。瞬士だって、簡単には流されないだろうけど、少しだけ心配だ。
そもそも、飲み会の幹事を買って出たのは舞衣だし、チャンスがあれば、瞬士に近づこうとしているのかもしれない──。
<つづく>
次回は3月3日(日)20時に更新!
舞衣が瞬士を狙っていると知った佳乃子は、一体どうするのか…!?お楽しみに♡
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