やっぱり来るんじゃなかったなぁと、私、花桐美咲(はなぎりみさき)はしみじみ思う。
眼に映るのは、成人した男女がそれぞれ着飾った姿で、作った笑みを浮かべながら表向きは楽しそうに会話をしている。
けれどその内心では、自分の将来の伴侶に相応しいかどうか、値踏みしているのが透けて見えていた。
――そう、ここは自分の結婚相手を見つける為の場である婚活パーティー。都内のホテルで立食形式で行われている。
眩しいほどの白いライトの下では、コックコートを着た料理人達が参加者に料理やお酒を振る舞っていた。
みんな、料理に会話にとそこそこ楽しんでいるのが見て分かる。
けれど私は……。
「美咲っ! どお? 楽しんでいる?」
「先輩……。酔っています?」
「ん~、ほんのちょこっとね」
25歳の私が今日ここへ来たのは、声をかけてきた28歳の先輩のせいだと言えた。
壁にかけられている大きなクラシックな柱時計を見ると、すでに20時過ぎ。
事の起こりは19時から開始のこの婚活パーティーが始まる前、今日の仕事が終了した17時30分頃のことだった――。
「ねぇ、美咲。今晩、暇かな?」
女性更衣室で着替えている私に声をかけてきた先輩は、私が3年前に入社した時に世話係としていろいろと面倒を見てくれた女性だ。部署が事務であり、女性の数が少ないことから、今でも仲が良い。
「ええ、明日は会社が休みですからね。飲みにでも行きます?」
「えっとぉ……、お酒を飲んで美味しいものを食べられる場所に行くという点は合っているんだけどね……」
翌日が休日だと居酒屋やバーで飲むことが多いのだが、今日の先輩は様子が変だ。
照れ臭そうに私から視線をそらしながら、もじもじしている。けれど意を決したように、私の耳元でこう言ってきた。
「あの、さ……。実は、ね。美咲は婚活パーティーに興味ある?」
「へっ? それってよく噂されているアレですか?」
「そう、アレです。ホラ、私ももう28歳でしょう? 同期入社した人達や友達が最近、次々と結婚して出産しててね。ちょっと焦ってきたの。それで思い切って、婚活サイトに登録したのよ」
先輩が言うには、某有名ホテルでこれから行われる立食形式のパーティーは、条件を満たした男女しか集まらない。成人していることは最低条件であり、男性の方は職業は様々でも年収は1千万円以上稼いでいることが条件、女性は未婚で20代であることが条件らしい。
その為、女性の競争率は激しく高く、先輩はそれでも当たればラッキー♪という軽い気持ちで応募したところ、2名分が当選してしまったそうだ。
「女性の会費は千円だけど、今回はわたしが無理を言って誘っているのは分かっているから、代わりに払うわ。だから一緒に参加してくれない?」
「でっでも私は未登録者ですよ? それでも大丈夫なんですか?」
「美咲は身分証明書になるものは持っているわよね? 年齢が確認できるものさえ受付の人に見せれば、未登録者でも大丈夫なのよ。それに登録者であるわたしの紹介だしね」
「はあ……。でもそういうのに参加するには、服装とかメイクに気を使わないといけないんですよね? 私、今日は普通の私服で来ちゃいましたし……」
「実は会場のホテルには、貸衣装のお店があってね。今回の婚活パーティーに参加する女性はそこで服を借りられる上に、メイクや髪形も無料でやってくれるんだって!」
「……随分と好待遇ですね」
「だって男性の方が多く支払っているんだもの」
ああ、激しく納得……。
「あっ、勘違いしてほしくないんだけど、別にわたしはお金で結婚相手を選ぶわけじゃないわよ? ただ無いよりはあった方が良いじゃない? 子供産んで育てるにも、お金はかかるわけだし……」
「それは分かっています。……まあ一度は経験してみたいと思っていたので、一緒に参加してみても良いですよ」
「ホント? ありがと~、助かるわ!」
お世話になった先輩の頼みだし、婚活パーティーにも一回は行ってみたいと思っていたのも事実。
この時はそんなふうに簡単に思っていたんだけど……。
<第2話へ>
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