「ああんっ、あっ、ああ、あぁん…!」
膝立ちになって脚を広げた成美が、腰を前後に振っている。彼女の脚の間には大介がいて、恍惚とした表情で目の前の成美のそこを凝視している。
彼は手に、ローションを塗った玩具の真珠の首飾りを持っていて、それを彼女の凹みに挟んでいる。彼女が前後に動く度に、真珠の球がトゥルンと音を立ててクリトリスを通過する。
あうん、あうん、と、雌の叫びをあげる成美は、さながら快感しか覚えられなくなった、人間ではない生き物だ。
「ほんとに変態だぜ、成美」
そう言って大介がペチンと尻を叩くと、クリトリスに別の刺激が加わる。
「いやぁんっ!」
「いい加減おねだりしろよ、ほらっ、ほらっ」
ペチン、ペチン、痛いのと気持ちいいのとで変になりそう。成美はとうとう、懇願する。
「な、舐めて下さい…成美のクリを…真珠ごと、転がして下さい…ひゃぁぁんっ!」
大介は齧り付くようにクリを食らうと、舌で乱暴にかき混ぜた。固い真珠と大介の振動で、クリがもみくちゃになる。
「あっ、イくっ、だいすけ、イくっ、もっと…もっと…やっやぁぁっ!」
膝立ちできなくなった成美は、そのまま大介の胸に倒れ込んだ。彼は受け止めると、燃えるように熱くなった彼女をきつく抱きしめた。
「これが〝特別なクンニ“?」
囁くように聞かれ、成美は頷いた。
智也先輩の言っていた「特別なクンニ」を俺にもさせてくれ。
そう言われた時、成美はどうすればいいのかわからなくなった。あんな変態じみたことが好きな女に成り下がってしまったと思われるのが恥ずかしくて。
戸惑ってもじもじしていると、大介は例の切り抜きの束をかざして、ニヤリと言った。
「今更、何言われたって驚くわけないだろ」
心拍数が一気に上がった。このショートショートには、成美の嗜好を全開にした数々のプレイが描写されている。彼はこれを読破したというのか。
「俺のセックス、上手くなってただろ? 教科書が良かったからだよ。成美のして欲しいこと、全部わかった」
成美は、大介にはもう何も隠せないのだと悟った。「特別なクンニ」の方法をこそっと教えると、彼は何も言わずに玩具のネックレスを買いに行ってくれた。
「私、厭らしい女になったでしょ」
息を切らしたまま、成美は言った。智也にこんな風に調教されてたことを軽蔑されるかも知れないと少し怖かった。だが大介は、髪を優しく撫でてくれた。
「厭らしくて、イイ女になった。それも、カッコイイ女に」
頭に疑問符が浮かび、大介を見る。彼は昔と変わらない、直射日光のような笑顔で笑ってくれた。
「智也先輩に金投げつけた時のお前、最高だったよ。清楚で可憐なだけじゃなくなった。知らないうちに、強くなってた」
成美は、イった時よりも恥ずかしくなった。
「そ、そうかな?」
「そうだよ。あん時の智也先輩の顔、写メッときゃよかったたぜ」
二人は、クスクスと笑い合った。
「でも給料日直後でよかった」
成美が言うと、今度は大介が不思議そうな顔をした。
「あれさ、私の一か月分の生活費なんだ。OLの一人暮らしって、やっぱキツイ」
彼の呆れた顔に、凝視された。成美は笑顔で、悔いはないと応えた。
「一か月、どうやって生活する気だよ?」
「わかんない。どうにかなるよ」
「本当なら、お前が原稿料貰える立場なんだぜ」
「いいよ、要らない。智也先輩にやり返せたんだもん、生活費はたくだけの価値はあったよ。それよりさ」
成美は猫なで声になると、大介を押し倒した。
「今度は大介が気持ちよくなる番。私、フェラも上手になったんだよ」
「それより成美がいいな。来て」
彼女の子宮が、キュッとなった。彼女は跨ると、自分の入り口に雄々しい彼を押しあてた。
「成美……俺たち、より戻そう……」
彼を感じて歓喜する身体に、こんな言葉が入ってきた。大介は真っ直ぐ成美を見ていた。
「いいの……?」
「俺、先輩に勝てたろ?」
「そんなの……私の中で、今まで大介に勝てた男なんて、一人もいないよ」
「良かった。俺、よっぽどエッチが上達したんだな」
「そうじゃなくて……んぁっ、あっ」
下から突き上げられ、成美は大介の虜になった。二人で声を上げ、悶えまくる。トロトロに溶けてひとつに混ざりあいたくなるほどの快楽の中で、大介が喘ぎながら言うのが聞こえた。
「成美……一緒に、暮らそう……」
涙が、出そうになった。彼女は彼に突かれながら、「うん」と返事をした。
<おわり>
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