【官能小説】調教された私…愛と快感、どちらか選ばなきゃダメ? -第1話-

官能小説

 

「チクショー、俺、もう四日も童貞だぜ」

と、何かの映画で、田舎の不良グループのモブキャラが叫んでいたのをふと思い出した。童貞というのはそもそも女性経験の全くない男のことを言うのだから、「四日間も童貞」なんて言い回しは、それ自体が意味をなさない。

にもかかわらず、成美はその晩、アパートの階段を昇りながら、顔すら覚えていないモブキャラに、心で言い返していた。

「四日くらい何よ、私なんか、もう三年も処女なのよ」、と。

一人暮らしのマンションでは、「お帰り」という返事も聞けないので、「ただいま」と挨拶する習慣も、この五年ぐらいの間で失われていた。二十歳で短大を出て、中小企業の事務員に就職した。薄給の身で、都心での一人暮らしに余裕はない。

手取りの三分の二は家賃に飛び、残った僅かな現金もその他の費用で失せ、自由に使えるお金として手元に残るのは、毎月せいぜい二万程度。それも食費込み。同僚たちのように華やかなファッションを楽しむ余裕もなければ、週末ごとに飲みに行く贅沢も許されない。

ユニットバスにお湯をためようとして、手を止めた。昨日、温かいものが食べたくて、野菜ばかりのポトフを作ったのだ。ガス代が怖い。今夜はシャワーで我慢しよう。

洗面台に据え付けられている鏡に目が行った。虚ろな瞳が自分を見返してきて、気持ちが沈んだ。

今夜の合コン、行かなきゃよかった。

「成美もさぁ、もう三年も男いないんでしょぉ? そろそろ次の男探し始めようよ」

――短大時代の友達がそう誘ってくれた時は、成美は顔で迷惑そうに見せながらも、心で舞い上がっていた。イケメンばっかり揃えるからとにかくおいでよ。

合コンをセッティングしてくれた友達はそう言って、気の乗らない演技をする成美を強引に連れ出してくれた。可愛い服もない、お金もない、けど久しぶりに職場以外の男と話もしてみたい。

その席でいいひとが見つからなかったとしても、楽しい宴席になればそれでいい。成美はこの日の為に二か月も倹約に倹約を重ね、合コンの参加費を捻出した。

そして、打ちのめされた。

合コンの席に並んでいた女の子たちを見て、成美は目を覆いたくなった。元々自分は地味な部類の女子だと自覚はあった。だが彼女たちは生まれ持った物以上の何かに裏付けされた輝きに満ちていて、来て数秒で、同じ空間にいるのがいたたまれなくなった。

同じ年頃のはずなのに、なぜこんなにオーラが違うのか、彼女たちにあって自分にないものは何だろうか。そう考え、すぐに答えを見つけた。

この子達は、生活で苦労してないんだ、と。

話を聞いているうちに、自分以外の全員が実家暮らしだとわかった。どんなに給料が安くても、その全てを自分の為に使える身分。金のゆとりは心のゆとりになり、心のゆとりは身体の外に滲み出る。

成美は、たった二万で生きている自分がどれほど貧相な顔でこの場にいるのかを想像したら、逃げ出したくなった。参加者の男子は結局誰も、成美に声をかけてはくれなかった。成美はお開きになると、二次会の「に」の字が飛び出す前に逃げ帰って来ていた。

鏡の中の、生活に疲れた自分を改めて見る。こんな女、自分が男だったとしても声を掛けやしないだろうと思う。短大時代はこんなんじゃなかった。

美人と言われたことはないし、地味で目立たない女の子だったけど、付き合ってた彼氏に「清楚とか可憐って言葉は、成美の為の言葉だよな」なんて、甘い言葉をかけてもらったこともあった。

鏡に、自分の豊満なふくらみが映っている。

掌が、自ずとブラウスのボタンを外していた。

成美は、着痩せするタイプだね。胸元をはだけさせながら、そう囁いてきた男もいた。成美自身、身体には僅かに自信があった。比較的細身に成った、たわわなDカップのバスト。

その輪郭を確認するようになぞると、果実にふわぁっと鳥肌が立つ。触れる、なぞる、撫ででみる。張りのある肌、疲れ切った表情とは裏腹に、男に抱かれなかった三年の間に、刺激を求めて完熟しきってしまった身体。

大胆に乳房を撫でているうちに、成美は、欲情した。彼女は、明らかに勃っている突起を、指先でちょんと弾く。

「んっ……硬い……」

わざとらしい、濡れた声で言った。

成美は厭らしく勃起したそこを、弾いたり、捏ねたりしながら、鏡の中を見た。快感に憑りつかれている時、自分はこんな顔をしているのかと、ほんの少しだけ冷静になる。

だらしなく蕩けている。でも気持ちよさそう。乳首をつまんで、一気に引っ張る。

「イャ…んっ!」

でもやめない。乳首は痛いのに、下半身がもっとやれと疼いている。

腰をもじもじさせながら乳首を捏ねる自分が無様で、滑稽で、でもたまらなく厭らしくて。私が主演のAV。

乳首を虐めながら、下半身を露出する。鏡には上半身しか映らないけど、そこがまた、見せたいのをわざと焦らしてくるAVみたいでそそられる。

成美は陰毛に触れるか触れないかの手つきで下半身をまさぐる。ぞくりと身体が仰け反る。触ってと、そこが言っている。

子宮がそこに触ってもっと刺激しろと言っている。左手で乳首をコリコリさせながら、右手で凹みに指を差し入れる。

「すごい…濡れてる…」

そう言ったのは、男から「厭らしく濡れてる」と言ってもらえない代わりだ。溝に沿って指でなぞると、それだけで溢れ出そうなほどの濡れようだった。

すりすりと凹みをなぞる。一番奥の入り口は触れるだけ。自分を虐めて遊んでいる。

「イッ、イィ…!」

思わず大きな声が出る。もっと焦らして遊ぶつもりだったのに、間違えてクリトリスに触れてしまった。耐えられなくなり、クリを撫でる。身体中が歓喜して、抑えがきかない。自分の指がピチャピチャ音を立てていて、動きが段々激しくなる。

「あっ、だめっ、だめっ、まだぁ…っ!」

いやっ、ひとりエッチだって久しぶりなの。こんなに早くイきたくない。もったいないあ。もっと虐めたい。指で中イキがいいのに、これじゃ…あっ、だめ…イィ…

思いとは裏腹に、クリへの刺激が止まらない。丸いそこがものすごく硬い。

「イッ、あっ、いやッ、あああ…っ!」

あっけない一瞬だった。成美は洗面台に寄りかかり、大きく息を切らしていた。鏡を見ると、オナニーの虚しさを知ったばかりの女が、虚ろな目でこちらを見ていた。

セックスが、したい……

 

<つづく>

 

次回は4月2日(火)20時に更新!

今日から8話に渡って連載していきます!ぜひお見逃しなく♪

 

 

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