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官能小説

【官能小説】「キミに決めた」~二人の夫に騙され愛されて…~ -第3話-

 

第1話

第2話

 

「う~ん……。やっぱり分からないわねぇ」

紅茶とクッキーをお腹に入れ終えると、いつものように中庭に出て散歩をする。

右京のデートは素晴らしかった。いつでもどこでも姫奈子をお姫様のように大事にしてくれて、周囲にいる女性達の嫉妬の視線がグサグサと突き刺さるほどだ。

会うたびに右京に惹かれていくものの、自分みたいな一般人が妻に選ばれるとは思わなかった姫奈子は、恋心にストップをかけていた。

けれど一ヵ月前、突然右京は姫奈子にプロポーズをしてきた。

その時の姫奈子は考えるまでもなく、OKをしてしまった。

どんなに封じようとしても、彼の妻になりたいという気持ちが抑えきれなかったのだろう。

その後、会社を辞めて専業主婦になってほしいとの右京の頼みを聞き入れて、姫奈子は会社を辞めた。

そして豪華な結婚式を開き、両親は涙を流しながら喜んでくれたものの、やはり平凡な家で育った我が娘が、素晴らしい男性に選ばれたことを不思議に思わずにはいられないようで、未だに連絡を取るとそのことを言われる。

「……まあ旦那様はわたしを可愛がってくれるし、別に不満はないんだけど……」

そこでふと、黒バラが目に映った。     

「黒バラが咲く季節も、もう終わりね」

しゃがみ込んで花を近くで見ようとした姫奈子は、そこでピクッと反応する。

(やっぱり視線を感じるわ)

すぐに立ち上がって周囲をキョロキョロと見回してみるも、どこにも人の姿はない。使用人は和子の他にも複数いるものの、この時間帯は姫奈子がここで一人ゆっくりと過ごすことを知っているせいか、他の場所へ行ってくれている。

なのに――だ。姫奈子はいつもここに一人でいると、誰かに見られている気になるのだ。

(結婚をして生活が一変したせいで、神経が過敏になっているのかもしれないけど……。やっぱり見られている気がするのよね。それとも警備会社のカメラかしら?)

これだけの家に住んでいるのだから、ホームセキュリティ会社と契約をしていてもおかしくはない。

だが、何かしらの感情が込められている気がするのだ。

(使用人達がどこかで隠れて見ているのかな? あんまり変なことはしないようにしましょう)

怖くなった姫奈子は、慌てて邸の中に戻った。

 

姫奈子は専業主婦になったからと言って、暇な生活を送っているわけではない。

歴史のある東城院家の妻として、会社経営の妻として、立派な振る舞いができるように、マナーやダンスの先生を邸に招いて日々勉強をしている。

夜になれば夫は帰ってくるが、何故か姫奈子の平凡な手料理を食べたがるので、夕方からは和子と共に夕食作りの時間になる。

そして夫が帰って来たならば、和子をはじめとする使用人達は全員家に帰されるのだ。

「――うん、姫奈子の料理は食べると落ち着くな」

「ありがとう。大したものは作れないんだけど、和子さんから今、いろいろと習ってて楽しいわ」

「それは良かった」

広いリビングルームで二人っきりの夕食に、未だに姫奈子は慣れない。

それでも右京は楽しそうにしているので、何にも言えないのだが……。

「あの、ね。右京さん、後でちょっと聞いてほしいことがあるの」

「良いよ」

けれどどうしても視線の正体を知りたくて、聞くことを決めた。

夕食を済ませた後は、姫奈子は食器の後片付け、右京は軽く仕事をこなす。それが終わると二人で一緒にお風呂に入り、ワインと二つのグラスを寝室に持ち込んで、ベッドの中でトークがはじまる。

「わたし、いつも右京さんを見送った後は中庭で過ごしているの。だけどその……何だか視線を感じるのよ。もしかして監視カメラでも設置しているのかなぁって思って」

「うん、防犯上、設置してあるよ」

と、アッサリと右京は認めた。

「姫奈子はちゃんとそういうのに気付くんだね」

「えっええ……。以前の暮らしではなかったから」

「そう」

夫は間近で優しく微笑むも、何となく感心されているようには思えなかった。

ワインを一杯飲んだところで、ふと右京は表情をくもらせる。

「姫奈子、悪いんだけど先に休んでいてくれるか? 実は持ち帰った仕事がまだ片付かなくてね。申し訳ないんだけど……」

「あっ、別に構わないわ。このまま寝るわね」

「ああ、お休み」

ワイングラスをベッドサイドテーブルに置くと、夫は姫奈子の額に軽くキスをしてベッドから出る。ルームシューズを履いて扉へ向かって歩き、出て行く間際に壁にある電気のスイッチに触れた。

「それじゃあ電気を消すよ」

「ええ、お願い」

パチッという軽い音と共に部屋の電気は消えたものの、ベッドサイドのナイトライトが淡いオレンジ色で輝き出す。

そして夫は振り返ることなく、寝室から出て行った。

姫奈子はワインを一杯だけ飲んだだけだが、未だに飲みなれない高級ワインは催眠効果が凄まじい。

「ふわぁ……、もう眠いわ」

涙が浮かぶほどの大きな欠伸をした後、グラスをテーブルに置いて、姫奈子は布団に潜り込む。

寝心地が良すぎる布団ははじめの頃は慣れなかったものの、今ではすぐに寝付けるようになった。

一人では広過ぎるもベッドで、まだ緊張が解けきれない夫がいないことに少しだけ気を緩めながら、姫奈子は意識を手放す――。

 

<つづく>

 

次回は4月12日(金)20時に更新!

寝ている姫奈子に、次回右京が仕掛けるのだが…!

 

 

                 

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