約束の時間まで、なにしよう。
今日の午後、カフェで待ち合わせをしている。いよいよ彼と会うのだ。
オンラインゲームで仲良くなったのがきっかけだけれど、もうすでにチャットでたくさん話しているから、どういう人なのか人間性というか内面的なものは把握している。
あとは外見だ。
リアルの外見は、どういう見た目の人なのか、わからない。
それは相手も同じこと。私の内面を把握できていても、外見は知らないのだから。
ただし自信は、ある。たぶん大丈夫。いいえ、きっと大丈夫。
いい人であることは、もちろん、かなりセンスの良い人のはずだ。
理由は、あのチャット。オンラインゲームの中でのチャット。あれで、彼の本質はかなりわかったつもりだ。
話し方、言葉の選び方、しゃべるスピード、相手との間の取り方、つまり、私との会話の呼吸。うん、かなりいい感じだった。
だから私は決めている。今回は、絶対に逃すものかと。
約束の時間になると、携帯が鳴った。
ヴーヴーヴー
ヴーヴーヴー
メッセージに写真が添えられていた。
ピースサインをしていて、若いな、と思った。
いちおう「これ誰」と私は返す。
「ぼくだよ」とメッセージが来たので、店内を見渡した。
あ。
そんなところにも席があったのね、という感じの場所に、彼は座っていた。
私は近づいていく、写真と同じ服装の彼の元に。一歩、また一歩、そして。
「なんでこんなところにいるのよ」と口走ってしまった。
あ。
いけない。
リアルでは初対面なのに。
私ったら、まるでゲームの中みたいに、しゃべってしまった。
しまった、と思ったのと同時に、
「お。パレオさん?」と言われる。
「その名前で呼ばないで」
「ごめんごめん、つい。ええと」
ようやく彼は私の本名を口にした。
「はじめまして」と私は言う。
「あの」私は質問する
「今日ここで私と会うことを」
「うん?」
「カノジョには、なんて言ってあるの?」
「おれカノジョいないから。恋人はいないよ。作れないんだ。女性から見て、おれみたいな男は付き合う対象にならないんだと思うよ」
「なんで?」
「おれ写真撮るのが趣味なんです」
フツウじゃないの。
「ヌードの」
「なるほど…あなたはヌードが好き、たぶん女性のよね?」
「ええ。その通りです」
「じゃあさ。私。なんてどう?」
「え」
「えじゃないでしょ。私。撮りたいの、撮りたくないの、どっち」
「撮らせていただけるなら撮りたいです」
「私ね、コスプレが趣味なの」
「ああ、納得です。だからそんなにキレイで若く見えるんだ」
「お世辞は別にいいよ」と言いつつも、少し嬉しくなった。
「あと。おれ脱毛してるんで、全身ツルツルなんですよ。で、昔、高校の女子たちに、すげえからかわれちゃって。ああ女子は、こういう男が嫌なんだろうなって」
「よくわからないけど。なんだったら見せてくれる?」
「おれ?」
うん、と私は、うなずく。素直に見てみたいと思ったから。
「うーん。そうだなあ。それじゃあ一緒にお風呂にでも入りますかね」
「うん、そうしましょ。それがいいわ」
「え」
「えじゃなくて」
「え。まじ」
「入りましょ。一緒に」
「どこに」
「あなたの部屋にバスルームないの?だったら」
「あります。いえ。あります。いえ」
「家、どっち?」
「あっちです」
私は決めた。これはもう、飛び込んでしまおうと。
彼の部屋は庶民的な商店街の裏通りにあった。
「おじゃまします」
「なにか飲みますか。お茶かコーヒーでも」
と彼が言うので、
「休憩する前にちゃんと洗いましょうよ。うがい手洗い、からだぜんぶ」
「はい」
チャンスは絶対に逃さない。そう決めたんだから。
「先に入る?」
「一緒によ。言ったでしょ。一緒に入るの」
「はい…」
ちょっとだけ彼は照れているようにも見えて、なんたがカワイイって思った。
話しながら私は服を脱ぎ始める。まずはシャツ。それからスカートを脱いで、
「あの。ハンガーって借りられる?」
「いいけど?」
「しわにしたくないの。スカート」
「OK持ってくるね」
「うん」
彼がハンガーを取りに行っている間に、すべてを脱ぎきった。先にバスルームに入り、蛇口をひねる。
持ってきたよ、どうする、ここ置いておくかい、と彼の声が聞こえたので、
「すぐ使う」と言いながら扉を開けた。
あ。
うふふ。
彼が私を見ている。
一瞬だけど、彼の視線が私の胸から腰のあたりまで、駆け抜けるのを感じ取ることができた。
「ありがとう」とハンガーを受け取り、スカートを取り付ける。プリーツのミニスカートはお気に入りだから、あまり他人の家の床とかに置きたくなかった、というのはあくまでも口実だ。
「じゃあ向こうにハンガーかけておくよ」
と彼が受け取ってくれる。
うん。ありがとう、と私は答えてバスルームに戻った。
見られた。彼はちゃんと見ていた。あそこも、じっくり見ていた。すごい視線。あれは本物だ、間違いない。と私の直感が叫んでいる。
彼は本物のカメラマンで、裸の女性を撮り慣れている、そういう視線だとわかる。
「おまたせ」と彼が入ってきた「失礼しますね」
「よろしくね」と私は言う。
「あはは。なんだか」
うふふ。やっぱり少し照れてるみたい。かわいい。
私はボディーソープを泡立てて、自分の体に塗りたくった。
それから彼に、しがみついて、「じゃあさ。洗いっこしようよ」と言う。
「はい。それじゃお背中流しますね」と彼が言う。
お背中流しますと言いながら、彼は私の肩のあたりを洗い始めた。
体中に泡が行き届いたところで、
私のお腹にコツンと彼のが当たった。泡まみれの手でつかんで、
「すごい。かたい。おっきい」
と思わず言ってしまった。
それに彼の体の滑らかな感触。筋肉の弾力が見ているだけで伝わってくるほど。実際に触ってみると、硬くて、弾んで、ぺったりと貼りつくような吸着性も感じられる。
私は思わず抱き着いてしまった。泡が二人の体から押し出されていくのが見えた。
「ね。洗ってくれる?」
と私は言う。
「もちろん」
と彼が言う。
「そこじゃないよ、こっちこっち。うん。そうそう、そこ」
と彼の手をあそこに導いてから、じっくりと泡立てた手で洗ってもらう。少し腰を落として、すじまわりの面積を広げるようにした。彼の手が私の股間を、すっぽりと覆った。おっきい手。指が細いのかしら。なめらかに滑っていくのが、じんわりと伝わってくる。
「もしかしてだけど」と彼が質問してくる。
「うん、なあに」
「ここ剃ってる?」
「ううん。剃ってないよ全然」
「一度も?」
「一度も」
「少ないんだね」
「そうなの?」
「じゃないかな。うっすらとした量だと思うよ」
陰毛は剃ったことがない。怖いというより、ここだけは残しておきたいと思い始めていたからだ。
「脚は脱毛したことがあるの」
「やっぱりね。すごいスベスベだ」
体を洗いあっておしゃべりをするのは楽しかった。彼のあそこは固くなっていて、でも、微妙に表面には柔らかさも感じられて不思議だった。
えい。
私は、正面から彼に向き合って、彼のを下に向けさせた。彼は抵抗しなかった。固くなって上を向いていたけれど、私の手で握ると静かに従順に従ってくれる。とても、いい子だ。
さあ、こっちよ。こっち。
彼のが私の股間に、ゆっくりと入ってくる。ぬるりとした感触は、最初は無機的な感じさえした。
まるで道具のような感触。けれども、先の方よりも根元の方が熱くなっていて、私の裂け目に沿うように伸びて貼りつくと、熱っぽさが増していくように感じられた。
「あつ」
あつい。
あついよ、これ。
「あ」
私は自分から漏れ出す声が他人のもののように感じられて、小声なのか大声なのか自覚できなくなっている。
「あ。ごめん、これはまずいよね」と彼が言いながら抜こうとするので、
「だめ。取らないの」と言って、私は太ももに力を込めた。太ももで挟んでいるわけではなかったのだけど、彼のが固いだけじゃなくて太くなってきていたから、ぎゅっと挟んだように感じられた。
「え。でも。まずいでしょ」
「出ちゃいます?」
「いや出さないけどね」
「制御可能?」
「それはもちろん」
「だったらちょっとだけ。ね」
「ちょっとって…」
「あ」
私は声を漏らす。もちろんわざと。何も感じていないわけではないが、このほうがどんどん気持ちが盛り上がる。
彼は何も語らずに、ときどき深く息を吐いているようだった。
お湯は出続けていて、バスルームの中は薄く白くもわもわとしていた。ガラスも鏡も曇っているのがわかる。
換気扇は回していなかった。良かった。回していたら、湯気がこんなに立ちこめない。私が漏らす声も、きっと打ち消されてしまって彼の耳に届いたかどうかあやしい。
私のあそこは鍾乳洞のように大きく膨らんでいて、いまにも彼のを丸のみできそうな気がするのだけれど、よほど彼のが大きいのか太いのか。
なかなか奥まで入ってこない。
けれども、静かに、ゆっくりと熱くなっているのが伝わってくる。
私も火照ってきた。
「あの」
私から漏れ出る声は、もう制御が難しくなっていた。
「うん?」
「あの」
「うん。なんだい」
違うの。質問もお願いもしてないの。ただ声を漏らしたい。それだけなの。でもまるでなにかを訴えるような言葉で私の声が漏れてしまう。
唇は制御できない状態になりつつあって、ようやく彼のが私の鍾乳洞の奥に潜り込んで来た。
あっ…。
しっかりと私は、くわえる。ぎゅっと。間違いない。これは彼のが私の中に入り込んでいる。
それからどれくらいの時間が経過しただろうか。
彼は私の背中を撫でたりしながら、じっとしていて。私は彼のをしっかりとくわえこんだままでいて。動くか動かないか、
と、そのときだ。
私には、わかった。すごい大きい、みるみるうちに膨らんでいる。私の中で静かにしていた彼のは、ぐんぐんと膨らんでいた。
え。まだ膨らむの。
まだ大きくなるの。
「あのさ」
突然、彼が言い始めた。
うん。なあに。
「もう、おれのもんだからな」
え。
「おれのものにしたよ」
彼の声は小さくて一瞬だったけど、私の耳から脳内へと拡声されて伝わっていった。すごい。
いい。
彼のはじっと膨らんで、ついに伸びて、そして、そして、ゆるやかに動き始めていた。
わかってるじゃない。
そう、こっちだからね。
ゆるく流れているシャワーが、一瞬だけものすごく冷たくなったように感じられたが、すぐにお湯に戻っていた。
私の火照りがお湯の温度を凌駕してしまったのかもしれない。彼の体はとても静かなのに、あれだけが滑らかに這うように動き始めていた。
このままだと、どうなるんだろ。
最初は、よくわからなかった。
固いな。大きいな。すごいな。そう思っていても、どこか他人事のように思えていたから。
彼のが熱くなって、私も火照ってきて、ようやくだ。これは何かが来る、ついに来る、そう思えた。
私はやっと気づいた。私が欲しかったもの。それは、この感触。いままでに味わったことのない感触。柔らかくて固くて、熱くて冷たくて、貼りついて一体化したと思ったとたんに離れて滑りはじめている。
すごい。
行ったり来たりしている。
なにかしらこの感覚。
「あの」
私の声が漏れる。
彼は聞き返したりせず、ただ動いていた。
あ。
私は自分の声が漏れているか、なにも出ていないのかわからなくなる。
ああ。
あつい、あついわ。
彼のが一瞬ぶるんと震えた気がした。私のお腹が震えたのかもしれない。
その瞬間、意識が遠くなりかけてしまい、とっさに私は言った、
「ちょっと待って…」
イクつもりなんてなかったけれど、イッてしまった。
すぐに抜いてほしかったわけじゃないけれど、抜かれてしまう。しかたないか。
彼のあれは何事もなかったかのように私から這い出たまま。
そのままシャワーに当たり続けている。
大きい、けど、さっき私の中で大きく膨らんだと感じたから、そのときよりは小さくなっている、のだろうか。
ひとまわり細くなっているように見えた。
でも長さは、明らかに、さっきよりも長くなっていた。私のあそこをこすっているときよりも、一段と長くなっている。
その先端が私を押したのね、と考えていると、彼のあれはみるみるうちに下向きになっていった。それでも長さは、ほとんど変わらない感じに見えた。
彼は黙って私の体にもシャワーをかけて、なにもかもを流してくれている。
気持ち良い。
「温度ちょっとあげてくれる?」
やっと言えたのは、それだけ。
<つづく>
次回は4月25日(木)20時に更新!
毎日見逃さないでくださいね!
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